lotlotlot2-ふたつの道-
自信のなさが、僕にそう言わせた
「そんな事があったんだ。でもさ、そんな風にして言葉人形を終わらせたなら、今頃エーマリリスさん、アイワイさんに怒られているかもね。彼女、リーグともっと話したかっただろうし。」
事の顛末を聞き、僕は言った。
「そうかもしれないな。でも、あの状態でアイワイさんと話すって言ってもなぁ。焦ってたから、何も話せないだろうな。」
「かもね。でも、お礼も兼ねて、近いうちに連絡しておいた方がいいよ。」
一応、そう言ってみた。

僕を助けてくれた薬は、きれいな赤から、うす汚れた赤に変わっていた。この汚れが、僕を治してくれた証らしい。そして、使った後は必ず燃やさなければいけないらしい。
そうしないと、せっかく治ったのに、また怪我が元に戻ろうとするのだと言う。
僕とリーグは、外に出て燃やすことにした。

黒い煙が立ち上る。
僕が創った大きな屋敷よりも高く、煙は昇っていく。
ただ、かなりの大きさだから、全部を燃やしきるには時間がかかりそうだった。
「これ、燃やし終わるのに結構かかりそうだな・・・。」
「そうだね。」
せっかく村の側まで来ていると言うのに、思わぬ足止めをくらい、僕たちは沈んだ。
まして、僕を助けた結果こうなったのだ。リーグに対する申し訳なさが芽生えていた。
「あのさ、もう少しで村に着くでしょ。だから、リーグ先に村に帰っていいよ。」
思わぬ提案に、リーグは少し驚いていた。
「何、言い出すんだよ。もう少しなんだから、一緒に帰ろうぜ。」
「でもさ、これ燃やし終わるの、結構かかりそうだよ。また、ここで泊まんなきゃいけないなんて、いやでしょ?」
「そりゃ、そうだけどさ。」
「だからさ、リーグが先に帰って、ほら、リーグの家に馬車あるでしょ。あれで、迎えに来てよ。それにさ・・・。」
僕は自分の出した屋敷を指さした。
「この家を消すのも、時間かかりそうだしね・・・。」
「わかった。」
つたない僕の言術を良く知っているリーグは、その提案を快諾してくれた。
「じゃ、あとで迎えに来るからさ。それまでに、それ、うまく消しておけよ。」
「・・・うん。」
自信はなかったけど、そう言うしかなかった。
< 17 / 87 >

この作品をシェア

pagetop