lotlotlot2-ふたつの道-
何が得意で、何が苦手か
「じゃ、消してみるか・・・。」
薬はまだ半分も燃えていない。家を消し終わる頃には、きっと薬も燃え切っているはずだ。
「家を出したいと思って出したわけじゃないからなぁ・・・。僕が出したかったのはテントだし・・・。こういう場合って、テントを消したいって思えばいいのかな?それとも家?」
独り言を言いながら、考えを整理した。
「とりあえず、力少なくて済みそうだから、テントを消す方からやってみるか。」
<テントを消したい。>
念じた。そして唱えた。
「lot。」

家は消えない。まだ、これでもかと言うくらいの存在感を誇示している。
「だめかぁ。」
薄々そう思っていた。目の前にあるのは、どう見てもテントじゃない。それは僕が一番良くわかっていた。つまり、気持ちに嘘をついていたわけだ。これで言術が発動するわけがない。
「どう見ても家だもんな。でも、この家を消すとなると・・・めちゃくちゃな力使う・・・よな?」
不安が過ぎる。
「lot。」
思った通り後悔した。
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