lotlotlot2-ふたつの道-
地響きが聞こえてきた。
「な、なんだ?」
地面が激しく揺れ始めた。とても立っていられるような状態じゃない。僕は四つん這いになり、身を支えるのに精一杯だった。
「うわああああ。」
地震だ。それもかなり大きい。側にあった木が、何本も倒れてきた。
「なんで、こんな時になるんだよ。」
そう言っても、どうする事も出来ない。揺れが早く収まるように祈った。
その時だ。轟音と共に、僕の出した家がどんどん沈んでいく。
「これって・・・。」
まさかと思ったけど、そうとしか思えない。この地震は、僕の言術だ。信じられないけど、家がきれいに沈んでいくのが、その証拠だ。
あれほど大きかった家が、もう屋根の一部しか見えなくなっている。
「家が・・・消えていく・・・。」
僕が思った通りになった。想いは通じていた。
「でも、でも・・・。」
じいちゃんのスマートな言術にはほど遠い、自分の言術に僕は閉口した。

家は消えた。
でも、ただ家を消すだけなのに、この被害はどうだろう。
木々は倒れ、色づいた緑は地面に広がっている。大地はひび割れ、すべてのものを飲み込もうと待ちかまえている。
「はぁ・・・。」
思案した。これを元に戻すべきかどうか。

今まで使った言術を考えると、たぶんだけど何かを生み出す言術の方が、得意なんだと思う。逆に消すとか、その力と反対方向を見ている言術は苦手らしい。
どっちも力の加減は出来ていないけど、それでもまだ生み出す方がいい。

元に戻すのはどっちかと言うと、苦手な分野になると思う。
だから、元に戻すつもりが・・・となりかねない。
「どうしよう・・・。」
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