lotlotlot2-ふたつの道-
まさかこんな事になるなんて
鈍い光を頼りに、洞窟の奥を目指す。
「この洞窟、どこまで続くんだよ。」
焦りが距離を長く感じさせているのだろうか。どこまで行っても、目的地は見えてこない。
「親父、無事でいてくれ。」
「おじさん・・・。」
願いながら、どんどん進む。
奥へ、奥へ、奥へ。
十分ほど奥に進むと、景色が一変した。所々に、岩の残骸が転がっている。場所によっては、まだ崩れ続け、土煙が上がっているところもあった。
「何があったんだ?」
嫌な予感がした。
「親父!」
リーグは叫んだ。けれど、聞こえるはずもない。今、洞窟の中にいるのは、目だけなのだ。口はリーグの体についている。
それに気がつかず、リーグは何度も叫んだ。
「親父ぃ。親父ぃ。」
「おじさん。」
あまりに真剣なリーグに、僕も口がそこにはないと気がつかず叫んでいた。
「親父ぃ。親父ぃ。」
何度かの叫びに、やっと僕は気づいた。
「リーグ、リーグってば。」
「なんだよ。親父を探しているんだから、邪魔するなよ。」
「でも、叫んでも意味ないよ。」
「意味ない事なんてないだろ。もしかしたら、親父が聞いているかもしれないじゃないか。」
「だから、聞こえないんだって・・・。」
「・・・。」
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