lotlotlot2-ふたつの道-
裏切りと失墜
予期せぬ出来事に、僕の言術は効果を失った。目はいつの間にか戻ってきていた。だからこそ、痛みで目を覚ました時、うなだれているリーグの姿を見ることが出来た。
「いたた・・・。」
頭を押さえようとした。しかし、頭に手をやれない。
「?」
僕の手に、足に太い鎖に繋がれた枷がついている。
僕は慌ててリーグに声をかけた。
「リーグ、リーグっ。」
「・・・たた・・・。」
僕の声を合図に、リーグも目覚めた。
「・・・イバーエ、ここ、どこだ?」
ランプが灯っているから、それなりに部屋の様子は伺える。壁は石が積み上げられ、かなり強固に作られているようだ。その壁に枷から伸びてる鎖は固定されている。どう見ても歓迎されているようには見えない。
ただ、懐かしく感じる部分もあった。それは柱や梁の配置だ。燃えてしまった僕の家に似ている。
「どこだろ?でも、村の中じゃないかな?」
「なんで、そんなのわかるんだよ?」
「リーグ、あの柱、どこかで見た事ない?」
「あっ。」
「ねっ、家に似てるでしょ?と言うことは、トニオさんが建てたんじゃないかな?ここ。」
「確かにトニオさんが建てたとすれば、村の中の可能性は高いな。」
トニオさんと言うのは、僕たちの村に住んでいる大工だ。双子の弟のカニオさんも大工だ。この村の家は、ほとんどトニオさんかカニオさんが建てたと言ってもいい。
「だけどさ、イバーエ・・・。」
「何?」
「ここが村だとすると、なんで俺たち捕まったんだ?それもこんな厳重に。」
心当たりがあるとすれば、この間、ズズカさんの所にいる牛のミルクを勝手に飲んでしまった事くらいだ。
「ミルク飲んだくらいで、こんな事にならないよね?」
「まず、ならないな。」
「じゃ、なんだろう・・・?」
こんな話をしている間、僕も、リーグも頭の痛みが止む事はなかった。ジンジンとする痛みは、何かを訴えているようだった。
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