lotlotlot2-ふたつの道-
暗闇の先は惨劇
口の周りに炭のようなものがついていた。心なしか口の中も苦い気がする。
目の前には、目が虚ろになったアイワイさんがいた。
「大丈夫?」
ただ一言だけ言った。
アイワイさんは何も言わない。何もしない。虚ろな目が、何かを見ているだけだ。
「どうしたの?」
視線を彼女に合わせた。
何も言わない理由は、すぐにわかった。惨たらしい死体。何がどうなっているのかは、わからない。たぶん、あそこに転がっているのは、指だと思う・・・。焦げているから、すぐに判別は無理だけど、あの曲がり方は指独特のものだ。
その隣にあるのは目だろうか。強い風に吹かれ、コロコロと転がっている。
「いったい・・・。」
急に記憶が流れ込んできた。
人を殺した記憶。胸が焼けそうだ。四つん這いになり、記憶を外に出す代わりに、胃の中のものを外に出した。
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