lotlotlot2-ふたつの道-
ふたつの道
まだ体調が優れない。だから、一歩踏み出す度に、足がとても重く感じる。それでも前に進んだ。
所々に木の根が飛び出している。足下がおぼつかない僕は、そのひとつに足をひっかけ転んだ。
ベテンッ。
急に倒れたせいで受け身も取れなかった。僕はかなりの勢いで、地面に倒れ込んだ。
「いっ・・・。」
痛すぎて、声が出ない。
「何?」
いきなり僕が視界から消え、アイワイさんは驚いていた。それから少しして、やっと僕が倒れているとわかったようだ。しゃがみ込み、抱え上げようとしてくれた。
「イバーエ君ってさ、なんか弟みたいだよね。」
ショックだった。
「ごめん。」
「あ、こっちこそごめん。変なこと言っちゃったね・・・。」
「気にしてないから。」
実はむちゃくちゃ気にしている。それは彼女もわかっている。だから、話をごまかそうと必死だ。そして、見つけた。
「これって・・・。」
彼女が拾い上げたのは、白い玉だ。見覚えがある。それは彼女も同じだった。
「これってお父様が造っていた・・・レンスの魔法を閉じ込めてあるやつじゃ・・・。」
「そうだと思う。僕とリーグは・・・アイワイさんの家で、エーマリリスさんに貰ったんだ。ほらっ。」
ポケットの中から、貰った白い玉を取り出して見せた。大きさこそ違うが、全く同じものだ。
「ホントだ。じゃ、これはリーグ君の?」
「たぶん・・・。」
「これがリーグ君のなら、何か覚えているかもしれないわ。」
アイワイさんは、記憶を呼び出した。
「そんな・・・。」
記憶は、僕たちに大きな衝撃を与えた。
「どうしたら?」
アイワイさんは聞いた。でも、そんなのはこっちが聞きたいくらいだ。僕は黙っていた。
リーグが魔法使いだなんて信じられない。リーグが魔法使いに、自分の体を使えなんて言ったのが信じられない。
< 85 / 87 >

この作品をシェア

pagetop