紅芳記
「京で何か、良いことでもございましたかな。
随分とすっきりされたお顔をしておいでですな。」
「ええ。
皆、矢沢殿が上洛を許してくれたお陰です。」
「それはようございました。
殿はもう、朝鮮に向かわれましたか?」
「はい。
十日ほど前に。」
「…そうですか。」
「大丈夫、殿たちはきっとご無事でお帰り下さいます。」
私が微笑みかけると、矢沢殿もニッコリと微笑まれました。
矢沢殿はそのあと私の供をしてくれた家臣達のもとに行き、私の許にはなんと右京殿の侍女がきたのでした。