甘いクスリ
 

甘えさせてやれるほどの
器量なんてないんだけど。


一緒に歩みたいってくらいは
想いのある相手だから・・・


って、結構 重い
ポジションだな。


自宅の扉の鍵を開けて、
ギターを部屋に連れていく。
メンテしてやんなきゃな。

昨日も最低限の事しか
してないし。
とか、

明日は、少し早く起きなきゃ。
とか、


そんな日常な想いと
入り混じってくるのは

とにかく都築は、居なきゃ
ダメなんだ。
って、事で。


他の生徒さん達とは
一緒な訳には、いかないんだ。

何にせよ、電話に
でないって・・・


俺が寝坊した事に
怒ってんのかな?とか

怪我が酷いのかな?とか


色々、気になる所はあるけど
何だか想定外で。


缶ビールのプルトップに
指をひっかけ、躊躇する。


そのまま、缶を
テーブルに放置して、
車のキーを掴み
ジーンズのポケットに
捩込んだ。


さすがに、今日も・・・なんて
口が裂けても言えないし

それこそ、俺が、
何もやらかさない保障が
全くない。


ちょっと様子を、
みてくるだけだって。
絶対帰ってくるんだしって
自分に言い訳ばっかりして
帰ったばかりの部屋を
再び後にした。


 

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