甘いクスリ
 

「ないですよ〜。
って?
珍しいですよねぇ?」


そうだろ?

受付嬢のコメントに
内心頷きながら
彼女を心配した。


「あと十分程待って
来なかったら、終わるね。」

そう言い残して
小部屋に戻る。

出席簿や、帰りに提出する
資料をまとめながら、
時計を見る。


「マジ?」

もう、終了時刻じゃん。

携帯を取り出し、
電話帳を検索する。



しつこいくらいコールするが、
彼女は、いっこうに出ない。

なんでだよ。


無性に気になる。


他の生徒なら
電話なんかしない。


俺のクラスは
この顔のおかげでしかないが
空き待ちが多いもん


退会者の一人や二人
どーにでもなる。


だけど、都築はダメ。


居てくんなきゃ
ダメ。


テク的にも
キャリア的にも




気持ち的・・・にも。






 

< 120 / 212 >

この作品をシェア

pagetop