甘いクスリ
「ないですよ〜。
って?
珍しいですよねぇ?」
そうだろ?
受付嬢のコメントに
内心頷きながら
彼女を心配した。
「あと十分程待って
来なかったら、終わるね。」
そう言い残して
小部屋に戻る。
出席簿や、帰りに提出する
資料をまとめながら、
時計を見る。
「マジ?」
もう、終了時刻じゃん。
携帯を取り出し、
電話帳を検索する。
しつこいくらいコールするが、
彼女は、いっこうに出ない。
なんでだよ。
無性に気になる。
他の生徒なら
電話なんかしない。
俺のクラスは
この顔のおかげでしかないが
空き待ちが多いもん
退会者の一人や二人
どーにでもなる。
だけど、都築はダメ。
居てくんなきゃ
ダメ。
テク的にも
キャリア的にも
気持ち的・・・にも。