甘いクスリ
 


こんなに『楽しい』のって
何時以来だろう?


会場全体が、今、
気持ちいいって思ってるって
肌に感じる。


あの曲の入り方だって、
音楽をやってる人間には
十分解る難易度なんだけど。

一般的に、最初の見せ場となる
鷹尾君との8小節に及ぶ
イケてるフレーズのユニゾン。

もう、アリエナイ程、
神経が高ぶってきている。

まだ、ボーカルの合間だと
いうのに、だ。

でも、ボーカルも、
同じかもしれない。
すっごいテンションの高さ。

ここで、リハ以上の事を
やらかさない所は、流石だ。

そんな事をしたら、
大抵は、失敗するから。

真月もレンも、相当
踏ん張ってると思う。

冷静にやりつつも
盛り上がり感を表現できれば
いつだって合格点は出せる。

しかし、今日のは、どうだろう
根本的に会場のグルーヴも
俺達も、すっごい高めの
テンションから始まってる。

曲のラストの想像がつかない。


 
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