甘いクスリ
「そういや、姉貴。
今日呼び付けたテーマって?」
さっさと用件を聞いて
琴子を掻っ攫いに行こう等と
よこしまな考えを抱く俺は
本題を促す。
「ああ。これ、あげる。」
そういって、姉貴は
黒のショップ袋をバサッと
テーブルの上にのせた。
「なんだこれ?」
中を確認しようとすれば
「だーっ。散らかすな。
帰ってからゆっくり見ろ。
って、もう、こんな時間か?
そろそろ、夕飯の支度するけど
晴紀は、どうする?
食べて帰る?」
姉貴が時計を見る。
「いや、いいよ。
俺、和紀みてるからさ。
用事してきなよ。」
これが鷹尾邸なら、間違いなく
お言葉に甘えるが、
これ以上、ここに留まるのは
危険極まりない。
多少お役に立って、
さっさと撤収するが得策と
いうものだ。