甘いクスリ
 
「だーっもー。
早く帰れって」

啓太と七海の尻を
結構、本気で蹴りながら
追い立ててる。

俺が、何か吹き込むと
警戒してるんだよな。

思わずニンマリ笑ってしまう。

それは、
期待に応えないと
失礼だよなあ。

「何?鷹尾君、
そんな急かして
新妻とデートでもすんの?」

「新妻って・・・」

そう言って、
真っ赤になって
口をパクパクさせてる。

・・・図星

鷹尾君・・・
タコより赤いから。


とりあえず、
二人が帰路につくのを確認して
奴は、ほっと一息ついてる。 

学生をあずかるのは、
正直、荷が重い。

ここから出ていくところまでは
俺達の監督責任も、
多少なりある訳で。

学徒の担当が多い鷹尾は
いつも、相当、気を遣っている。

アイツらは
知らぬ風だけど。

生徒の入れ代わりも済んで
俺も最後のコマを消化しに
部屋にもどる事にした。



 

< 2 / 212 >

この作品をシェア

pagetop