甘いクスリ

「だいたい、透が
悪いんだからっ!!

どこの世界に、
待ち合わせ場所に、
ビジネスホテルのポスターを
目印にする奴がいるっ?!

しかも、それって、
四方50センチサイズくらい
なのよっ?!」


真月さんは、
ブチ切れ寸前だ。


さすがは歌手
鋼鉄のプライド


・・・あたしなんて
下見しなきゃ、
どこででも、見事に
普通に迷うわよ。


昨日だって・・・
今日、迷わない様に
下見したんだもん


「目印がポスターって
それは、透君が悪いだろ!?」
って、周りは大爆笑で。


なんだか、微妙にあった
壁みたいな距離感が崩れて
それを見た二人は
顔を見合わせて笑んだ。


スゴイ


世界が、出来上がって
見えた。




だったら



置いておいてくれれば
ヨカッタのに。



鷹尾先生まで


持ってかないでよ。


バンドの信頼関係なんて
よくわかんない私は
真月さん達の気持ちなんて
ちっともわかんなくて
単純にそう思って。



鷹尾先生にたいする気持ちと
透さんに対する気持ちを
一緒だって思ってしまっていた。



 

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