甘いクスリ


「ふーん。そぉかなぁ?
何か隠していそうだけど。」

都築は、無理矢理、
納得してくれたらしい。

「で、セッションの感想は?」

「ん。楽しかった。」

にこっと笑って
彼女は言った。

「みんなで何かやるのって
いいですね。
同じ曲でも
レッスンで弾くのと
全然違う。」

「なっ。だろ?
里奈が連れて来たボーカルは、
いずれもライブ経験
豊富だからね。
歌も、ギターも
聞かせ方をよくしってる。」

期待どおりの反応に
ニンマリした。


「でも、最後の曲って
みんなでやっても、
雰囲気がつかめないです。」


ああ。
真月セレクトな。


「多分。今はな。
みんな仕上がってないし、
基本になる構成を
確認しただけだしな。」


でも、

俺の勘では


最終的に、
あれが一番もっていくな。


真月の選曲は
その辺のプロより硬い。


・・・だいぶ奔放だから
そのままじゃ
弾けたもんじゃないがな。


 


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