こいのうた


私はギュッと目を瞑った。



唯人君……



唯人君…




「夜深!!!」



「っ……」



誰かが私の名前を叫んだと同時に、私に覆い被さっていた男が視界から消えた。




「夜深!!大丈夫か…」



どうして……



また…



来てくれた…



「……唯…人君…」



ダメだ。



立てない。



「っ…てぇな…ふざけんな!!」



唯人君に殴られたのか、男はヨロヨロと立ち上がり私達にそう怒鳴りつけた。




「ちっ……夜深、逃げるぞ」



「え……でも…」



立てない。



「ほら、行くぞ!!」



「え……わ…キャア!」



立てなくて、ぼーっとしてたら



ふわって



お姫様抱っこ……




「唯人君!!重いでしょ!?おろして!!」



「重くないよ。小さくて軽いし、天使みたいだな。」



「……」



天使みたいなんて……



言ってくれるの



唯人君だけだよ。




私は唯人君にギュッと更に強く抱きついた。






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