こいのうた


言え。


今の気持ち。



唯人君を目の前にするとどくんどくんって



心臓が高鳴るって。




「夜深?」



「唯人君……あの…」



ああ~


もう!!!



「あ…ありがとう……」


「へ?」



ああ……


もう、私ったら…




「私、嬉しいよ。こんな誕生日、初めてだから…」



「……そ?俺は夜深が喜んでくれればそれでいいよ。」



「ふふ」



私と唯人君は顔を見合わせて笑い合った。




「…帰ろうか」



「ふふふ。帰ろ」




唯人君…



ありがとうってゆうのも本心だよ。



でも……



もっと大事なの。



唯人君といると、心臓がチクチクするってこと。

この気持ちが何だかわからないから……




私は唯人君の腕に自分の腕を絡めてギュッと抱きついた。



「今日の夜深は甘えん坊だね。どうしたの?」



「ううん。寒いから。ダメ?」



「いや。逆だね。」



「……あったかい…」




その夜は、雪がチラチラと舞った。



それが今年の初雪だった。



まるで、それは私の気持ちを表すように


チラチラと舞っていた。



< 58 / 268 >

この作品をシェア

pagetop