†神様の恋人†

祈る少女

その夜、わたしは久しぶりに安心してジャンヌの隣で眠った。



――――またこうしてジャンヌの隣で眠れることを神に感謝しながら。





翌朝、わたしとジャンヌはまた、元気に宿屋の手伝いを始めた。

「2人ともよく働くねぇ。本当に感心するよ」

クロエおばさんが目を細めながら言う。

「お祈りする以外することもないですから、どんどんこき使ってください」

ジャンヌが床掃除をしながらカラカラと笑った。

ジャンヌはわたしがいない間、一度だけロベール隊長のもとに行っていたけど、結局会えなかったと言った。

でも落胆している様子もみえない彼女に、逆に元気をもらったような気がした。

ジャンヌは、神を信じているのと同じように、自分を信じている。

前だけを見て、生きている。

―――わたしが、ジャンヌを好きな理由の一つ、だ。



「ミシェル、下で待ってるよ」

「うん。すぐに行くから!」

その日の午後、わたしたちは再びロベール隊長のもとに行くことにした。

ジャンヌに少し遅れて部屋を出たわたしは、ふと、カミーユの部屋が気になり振り返った。

昨夜から一度も会ってはいないし、今も部屋にいるかどうかはわからなかった。

もしかしたらエリザさんもこの町からいなくなってしまったし、宿屋を引き払ってしまったかもしれない、と思った。

「もう関係ない」そうつぶやいて階下へと降りた。


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