†神様の恋人†
声のした方を振り向くと、修道院の角からカミーユが壁に寄りかかりながらこちらを見ていた。

「…カミーユ!?」

走り寄るわたしをカミーユが勝ち誇ったような笑顔で見つめる。

彼に近寄った瞬間、わたしは腕を取られ、背中から彼の腕の中に抱きしめられた。

「…カミーユ、だっだめだよ!誰かに見られちゃう!」

カミーユの腕を振りほどこうとするけど、強い力で抑えられる。

「…知ってた?ファビオが君を見てたこと」

……ファビオが……?

ジャンヌの話に夢中になってて全然知らなかった。

「…心配、してくれてるの?」

「まぁ、君の警護だからね…」

……警護……。

その言葉に少し寂しさが胸を突き抜けた気がした。

「そうだよね。カミーユはエリザさんをまだ愛しているもの」

……そのセリフを言った瞬間、涙が出てきて、自分でも驚いた。

カミーユにとっては、わたしはまだまだ子供。

こんな男装をして、戦場に行こうとしている女なんて、相手にするわけがない。

「オレはね、娼館の一件のあと、エリザにさよならをしに行ったんだ」

………え………?

そっと腕を離したカミーユの胸の中から抜け出て、彼を振り向いた。

< 137 / 147 >

この作品をシェア

pagetop