†神様の恋人†
ジャンヌの背中を目で追っていたその時、ふわりとジャンの大きな胸の中に包まれた。

「…ジャ、ジャン…?」

「ミシェル…今すぐじゃなくてもいい。結婚しよう」

……ジャン……!!

ジャンの胸の中で、わたしは不思議な気持ちだった。

明るくて優しいジャンは、女の子と付き合う機会は何度かあったはずだ。

実際にジャンと付き合いたがっていた女の子も知っている。

でもジャンは全てその機会を無視してきた、ように見えた。

それが、自分のためだったなんて……全く考えたことなんて、なかった。

ジャンをそんなふうに意識したことなんてなかったのに、胸がドキドキする。

男の人の胸って、こんなに広いんだ……。

初めて、男性の力強い腕を意識した。

「ミシェル…好きだよ」

ジャンの真剣な顔が、わたしに近づいてきた。

………キス…されちゃう……!

「…ご、ごめん!ジャン…!」

慌てて顔を背けて、両手でジャンを引き離した。

「ミシェル…」

「わ…わたし、まだキスとかできないよ…!…そんなの…困る…」



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