†神様の恋人†
『クロエ』という名前のその宿屋は、クロエ・モンティエというわたしたちのお母さんのような年代の女性が一人で切り盛りしている宿で、何度か訪れたことのあるジャンヌを娘のように迎えてくれた。

「まぁ、ジャンヌ!いらっしゃい。疲れたでしょう。すぐに部屋に案内するわ。あら?そちらのお嬢さんは?」

小太りで優しそうなクロエさんは、笑顔でジャンヌを迎えたあと、わたしを不思議そうに見つめた。

「ミシェルです。わたしの自慢の妹なんです。美人でしょう?」

「まぁ、本当に。可愛らしいお嬢さんだこと。前に話していたわね、大好きな妹がいるって」

微笑ましそうに笑うクロエさんと彼女をとても慕っているように見えるジャンヌ。

わたしは二人の様子を見ながら、ジャンヌがわたしのことを“自慢の妹”と話していてくれたことが嬉しくてたまらなかった。

わたしとジャンヌはこの宿屋で働きながらお世話になり、毎日でもロベール守備隊長のもとに通うつもりだった。

食事の賄いを受け、2階の部屋に通されたわたしたちは、明日ヴォークルールの城に行くことを約束して眠りについた。

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