無口な王子様

会いたかった

「ごめんなさいね。あの子、ちょっと人見知りで。」
有紀さんは、すっかりぬるくなったコーヒーを淹れ直してくれた。

カウンターの奥からは亜由美の楽しそうな声を聞こえる。

私は熱いコーヒーを少し冷ますようにスプーンで掻き混ぜながら

「あの……慶たんて…誰なんですか?」

と有紀さんに聞いてみた。

すると、有紀さんは愛しそうな笑顔を浮かべた。

「慶太は私の息子のようなものね。」

「息子…のような?」

「ええ。そう。ほら、あの子達は私の娘みたいなものなの。
息子は慶太だけなのよ。」

有紀さんは、私が見入っていた人形達を指差した。

「と、いうことは……」

「慶太は私の大切なお人形なのよ。」
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