無口な王子様
私は一瞬言葉を失った。

「凛ちゃんはお人形が苦手かしら?」
固まる私に、有紀さんが心配そうな表情になる。

「いや…人形は苦手ではないですけど、ただ……」

「亜由美ちゃんがあんなに熱心に会いに来ているから、どんなに男の子かと思った?」

有紀さんの言葉は核心をついていた。

私がうなずくと、

「私や亜由美ちゃんには、慶太は普通の男の子なのよ。」

有紀さんは、そう言って私の手を取った。

「もちろんあなたにもね。」

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