Libra ~揺れる乙女心~


この夏が終わったら…


健太の夏が終わったら…




私から言うよ、健太に…




 
『もう一度彼女にしてください』って。




もう、同じグラウンドに立つ2人を見ないで済むから…

健太だけを見ていられると思うんだ。





だから、それまでは

今のまま、3人でいい関係続けよう。





「またまたぁ!健太は口はうまいんだから」




誤魔化した私を健太は、悲しい目で見つめた。


私の笑顔を健太は『NO』だと受け止めた。




違うよ…

健太。



待ってて。


それまで私を好きでいて。





今は、何も言えないよ。


この微妙なバランスを保つにはこうするしかない。




健太は旅館のスリッパをペタペタと音を立てながら歩いていった。



ひんやりした床にしゃがみ込んで泣いた。

ずっと泣くことすらできずにいた。






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