Libra ~揺れる乙女心~
「俺、どうすればいい?」
こんな風に女に頼るなんて、俺らしくない。
理沙にもこんな俺、見せたことがない。
俺は、少しだけ当たる鈴子の肩にドキドキしながら、今朝の出来事を話した。
ぐちゃぐちゃになる俺の頭の中。
自分がどうしたらいいのかさえわからず、ただもがいていた。
その俺の話を、鈴子が隣で聞いてくれた。
何かを言うわけでも、アドバイスをくれるわけでもなく、ただ隣にいてくれた。
俺は救われた。
鈴子が天使に見えた。
今朝見た光景が、俺の記憶から消えることはないが、
何年かしてから今日の出来事を思い出すとき、
俺は今朝見た悲しい光景よりも、今の鈴子を思い出すだろう。