Libra ~揺れる乙女心~




右手から落ちたボールが石畳の上を転がる。



俺は、鈴子の背中を抱きしめていた。



「あ…ごめん!」


すぐに我に返り、鈴子から離れた。


自分で自分の行動が理解できない。


今、俺はどうして

鈴子を呼び止めたのか…



「話、聞くよ」




さらさらの髪が風になびく。


石畳の上に体育座りをした。




松の葉は深い緑色をしていて、躍動感がある。







< 125 / 180 >

この作品をシェア

pagetop