Libra ~揺れる乙女心~
その日の帰り、隆介は理沙に別れを告げた。
恨み言も何も言わずに、ただ『別れて欲しい』と自分が悪者になった。
翌日、隆介は素晴らしい投球を見せた。
彼女と別れた翌日だなんて、誰も気付かない強い目で…
傷を消そうとするかのように、真っ直ぐな投球だった。
あの試合で、勢いがついたチームは、負ける気がしなくなった。
健太と隆介のコンビは最高で、
全く違うタイプの2人だったせいで、
健太のあとに投げる隆介は、ほぼノーヒットに抑えていた。
いけるかも知れない。
甲子園、行けるんじゃないか、俺達。
そんな空気が広がっていた。
行ける。
絶対に行ける。