Libra ~揺れる乙女心~


ベンチの一番端に座っていたチームのエース。

健太が最初に立ち上がった。


健太らしい。

いつでも笑顔の健太が言った。



「ほら!練習するぞ!お前ら来年俺たちの夢叶えてくれよ!」


隣に座る2年生の肩を叩いた。


隆介が手を

強く握り締めていた。


深々とかぶった帽子の下で

泣いている。


震える背中に

みんなが贈る言葉…『ありがとう』





いつも最後は隆介に頼っていたね。



試合でももちろんそうだし、練習でも何でも、隆介が頼りだった。




自分がしっかりしないといけないって隆介は必死で頑張っていた。



たくさんの辛いことあったのに、

誰にも見せずに、頑張った。




もう少しだったね。

誰も悪くない。




健太も隆介も、みんなも後悔なんてしないで…




お願いだから、胸を張って、この夏を思い出にしてほしい。



この熱く燃えた夏を…

どうか、自信にして欲しい。






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