Libra ~揺れる乙女心~

胴上げ



部室の前で胴上げが始まった。


運動部はほとんどが、部室の前で後輩に祝福されていた。




「いいよ!お前らぁ!!」


最初に胴上げされたのは、隆介だった。




いつの間にかユニフォームに着替えた卒業生。


久しぶりに見るみんなのユニフォーム姿に胸が熱くなる。


後輩も私達マネージャーもみんな泣いていた。




「洗ったね…あの服。」


「うん、泥だらけだったね…」



泥のついたユニフォーム姿…

漂白してもなかなか落ちなかった。



手が荒れて、ハンドクリームが欠かせなかった。

その手をぎゅっと握って、健太は言ったね。


『ありがとうな。俺、お前がいるから頑張れる。これからもお前がいれば何でも頑張れる』




健太は、胴上げされている隆介を見ながら、大きな口を開けて笑っていた。



健太らしい笑顔。


誰からも愛される優しいかわいらしい笑顔。





< 163 / 180 >

この作品をシェア

pagetop