Libra ~揺れる乙女心~
健太が私に話しかけてこなくなってから、気付いた。
私は、常に健太の視線を意識していたこと。
何かをしている時、いつも健太は声をかけてくれた。
『ごくろうさん』とか
『それ、重いだろ』とか
私を見守ってくれているような人だった。
そんな健太の優しさを私は、踏みにじったんだ。
あの時、健太に正直に相談していたら、どうなった?
健太は、約束を守ってくれる人だから、隆介には内緒で恋の応援してくれたかも知れないのに。
もう戻れないの?
もう重い荷物を半分持ってくれないの?
もう、私の背中を叩いてはくれないの?