Libra ~揺れる乙女心~
人からどう思われるかなんて、気にしない性格だった。
だから、俺は今まで生きてこられたのかも知れない。
俺に向けられる同情の目は、見て見ぬフリをしてきた。
それを気にしていたら、俺は人間が嫌いになっていたかもしれない。
「かわいそうに・・・」
「寂しかったでしょうに・・・」
友達のお母さんが俺をかわいそうな目で見るたびに、俺は心の中に1つ傷を作った。
誰も俺の気持ちなんてわからない。
俺を置いて家を出た母さんの気持ちだって、誰にもわからない。
俺は、母さんを憎んではいない。
悲しくなかったのかと聞かれると、悲しかったことは事実だけど…
でも、俺のたった一人の母さんを悪く思われることが嫌だった。
ひどい母親だと人から思われることが辛かった。