Libra ~揺れる乙女心~

花火




人込みを避け、河原に座って見ることにした。


川の流れる音が心地良い。


生い茂った草がお尻にチクチクと刺さって痛かった。



泣くほどの痛さじゃない。


でも痛い。



私の今の心とおんなじだ。




隆介が好き。


隆介は、彼女がいる。


隆介は花火を見ながら、彼女と手を繋ぐかも知れない。

キスをするかも知れない。



まだ本気じゃなさそうな隆介だけど、これから本気で彼女を好きになるかも知れない。




涙は出ない。




草がお尻に刺さる痛み。

遠くの屋台から匂うお好み焼きのソースの匂い。

斜め前にいる健太の背中。



自分がわからない。


好きって何なのか。

恋ってどれ?



ドキドキするのが恋?

一緒にいて楽しいのが恋?



なかなか恋ができなかった私の前に、どうして急に現れたの?


同時に2人もの、素敵な男の子が・・・



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