Libra ~揺れる乙女心~
私の願いも空しく、マネージャー3人が浴衣姿で現れた。
その瞬間、さっきまでのはしゃぎっぷりが嘘のように、隆介は冷めた声を出す。
「おせー、お前ら。」
隆介を好きなんだと思う2年のマネージャーがいた。
何となく、隆介に向ける視線が熱くて、気になっていた。
「あ!!健太!!」
浴衣姿で現れた健太にみんなは騒ぎ出す。
黒の浴衣がよく似合っていた。
短い髪をツンツンと立てていて、日に焼けた肌が男らしい。
「健太、写メ撮らせて~!」
「健太、浴衣すっごい似合うじゃん!」
私は、少し離れた場所からその様子をじっと見ていた。
この気持ちも自分でよくわからない。
他の女の子が、健太に寄って行く姿を見ていると、胸がモヤモヤするような気持ちになった。
よくわかんないよ。
さっきまで隆介と2人でいたいって思っていたのに・・・
健太とも話したい。
また昔みたいに何でも話せる関係になりたいって思っちゃう。
「鈴子!悪い。俺、やっぱ行くわぁ!」
隆介が私の肩をツンツンってして、耳元でそう言った。
そのまま携帯で誰かと話しながら自転車に乗って、去って行った。
誰かと・・・って
誰かなんてわかってる。
やっぱり彼女なんだね。
やっぱり付き合ってるんだぁって、事実が目の前に立ちはだかる。