Libra ~揺れる乙女心~
「もう少し、2人でいたい。」
花火が休憩に入ったとき、俺の声が鈴子に届く。
もう、あと2分くらいでみんなのいる場所に着いてしまう。
俺は強引に鈴子の手を引っ張り、逆方向へ歩き出す。
俺は手を握ったまま、うつむく鈴子を見た。
「やっぱり、隆介がいいか?」
こんな質問をしても困らせるだけなのに・・・
鈴子は、あいまいに笑っていた。
「でも・・・今、すごくドキドキしてる。」
鈴子は、消えそうな小さな声で言った。
鈴子が俺にドキドキ・・・?
俺がドキドキしてるように、鈴子も?
俺はどうするべき?
ここで押すべきか、このまま友達関係を続けながらゆっくり愛を深めるのか・・・
考えるよりも先に行動していた。
俺は、鈴子を抱きしめていた。