天然なあたしは悪MANに恋をする
新しい恋心
レン以外の男の人と、二人きりで過ごすなんて初めての経験で、あたしはどうしたらいいのかわからなくなる

しかも…あたしのいる場所は立宮先輩の家で、広いダイニングで、たくさんの強面な人に囲まれて夕食を共にしていた

先輩は平然とパクパクと食べているけど…あたしは、一気に食欲が減退し、箸を持つ手が一向に進まなかった

「瑞那って小食なのか?」

先輩が口の中で、唐揚げを噛みながら、先輩が質問してくる

「あ…いえ」

だってこんなに大勢の……しかもすっごく怖そうな人たちとテーブルを囲んで食べるなんて、恐ろしくて、食欲なんて出ないよ

「これ、うまいっすよ」

隣にいる黄色いシャツの男性が、あたしのお皿に肉じゃがを盛ってくれた

「あ…す、すみません」

あたしはぺこっと頭を下げると、箸で芋をさして口に運んだ

こんなところで、先輩は毎日を過ごしているのだろうか?

にぎやかで、時計の針なんて聞こえなさそうな家だよ

どこを見ても豪華な装飾品ばかりで、絨毯もふかふかで、ほんとにすごいとしか言いようのない大きな家だ

レンから、『ヤクザの組長』の息子だって聞いていなければ、きっと大きな屋敷と、強面の人たちの顔を見ただけで、腰が抜けていただろう

「もしかして、こいつらに怯えてるのか?」

立宮先輩が、驚いたように口を開いた

「え? あ…そのぉ」

面と向かって「はい、怖いです」なんて言えないよ

怖いけど、どうしたらいいのか…

「怖いのは見た目だけだ。平気だ。みんな、優しい」

「いや、俺らが優しいっていうか…景さんが怖いんすよね。喧嘩っ早いっていうか。昨日だって、青族に喧嘩売って、あっさりと族長の座を奪っちまうんすもん。焦りましたよ」

「瑞那の前でそういうことを言うなよ。昨日は喧嘩するだけの理由があっただろ」

< 38 / 129 >

この作品をシェア

pagetop