天然なあたしは悪MANに恋をする
「葉南、レンの片想いだよ」

女性の後ろから、片岡先生が顔を出して会話に加わった

「あ…そうだったんだ。ごめんね」

葉南さんと呼ばれる女性が、レンに頭を下げた

レンは困った顔をして、外に視線を動かした

「先生って結婚してたんですね」

「え? あ…うん。まあね」

あたしの言葉に、片岡先生が苦笑した

「本当はね。片岡君が就職してから籍を入れるつもりだったんだけどね。この子ができちゃって」

葉南さんが、お腹を擦りながらにこっと笑った

幸せそうに微笑む葉南さんが、とても綺麗に見える

いいなあ

すごく愛されてるって感じがする

羨ましい

「あの、これ…良かったら」

あたしは来る途中に買ってきた和菓子の包みを差し出した

「あ、いいのに。気にしなくて」

葉南さんが笑顔で、受け取ってくれる

「レンなんて、呼び鈴も押さずに、ずかずかと上がってくるのにな」

片岡先生が、腕を組んでくすくすと笑った

「え?」

あたしは驚いた顔をして、レンを見た

「いいんだよ。別に…中学んときから、通ってるんだし」

レンがまたプイっと横を向いた

「今日は、ミズナちゃんの知らないレンがたくさん見られるかもしれないね」

片岡先生が楽しそうに笑うと、階段を上がって行った

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