君に溺死

対として立つぼくら


少しずつだけれど。近付いていく距離に、浮かれていた僕は。自分がどんな立場に居るのか、忘れていたんだ。



「…京ちゃん?」



二人で出掛ける機会も増えて。

青空が広がる日曜日、僕とめーちゃんは七回目のデートだった。不意にめーちゃんが人で溢れるスクランブル交差点で、歩みを止めた。めーちゃんの視線はまっすぐ誰かを見つめていて。

胸騒ぎ、というのだろうか。ザワザワと不快な心音が僕の体中を支配していく。



「…え、藤咲?」



めーちゃんの視線の先には、僕を射るような目付きの藤咲京がいた。

藤咲京。僕の高校と対立する高校の頭。僕の族と対立する族の頭。僕の好きな人の好きな人、?

僕はめーちゃんの前では上条遥でいたくて。死神副総長の上条遥では、いたくなかったのに。
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