君に溺死

ながれ落ちる涙


逢えないと逢いたくなって。逢ったら掴みたくなって。掴んだらきっと。全部、僕のモノにしたくなる。



「…遥ぁ、てめぇ面倒くせー事してくれたなぁ?」



普段は使えない、シスコン馬鹿の癖に。僕の前に立つ千鶴は今、God Of Death 総長「灰野千鶴」の顔をしている。僕と同じ、死神姿の千鶴に逆らう事なんて。…出来ない。

無言で空を見つめる僕に。千鶴はその重い拳を振り上げた。



「…しっかりしろや、クソッタレ。」



あァ、本当にね。

殴られた衝撃で震える脳。痛みと共にヌルつく口元。ソレを拭って赤く汚れる指先。



「…イタズラ、狩るぞ。」



抗争の始まりを告げる声。

長年に渡って対立していた南と北の戦争が今、始まる。
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