君に溺死

僕はこの場から動けないまま。ただただ、君を探してる。



「…その顔どうにかしろよ、」



千鶴の舌打ちと共に、僕の顔にゴワゴワな何かが飛んできた。パサリ、と床に流れたソレを掴むと感じる違和感。



「…顔が濡れてる。」



拾い上げたモノはタオルだった。

首を傾げてる僕に。千鶴は盛大な溜息を吐くと、呆れた様に吐き捨てた。



「…泣く程想ってンなら、奪い捕りゃあイイじゃねぇか。」



簡単な事だろ、と。千鶴は身に纏う白の特攻服を翻して僕に背を向けた。

ー…あァ、僕は泣いているのか。

瞳から流れ落ちる涙を。僕は何処か他人行儀に感じていた。
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