君に溺死
誰よりも想ってる。
だから僕にちょーだい。君を幸せにするのは、間違いなく僕で在りたい。
「オマエ、昔と同じ顔してンな。」
「…は?どういう意味?相変わらずウザイね、オマエ。」
目を細めて、口角を上げる僕の瞳は。きっと暗く淀んで冷たい色をしてるんだろう。
そんな僕を見て藤咲は満足そうに笑った。短くなった煙草をローファーの裏で踏み付けながら。上げた視線は僕を鋭く射抜いて離さない。
「…芽衣は光だ。俺達みたいな汚れた手で触っちゃいけねぇ。」
あァ、そうか。そういう事か。オマエが言ってる意味がよく分かるよ。…でも。
「…だからナニ?」
逃げたオマエに何も言われたくないよ。僕はこの汚れた手でも、芽衣ちゃんを掴んでみせる。
触れたらきっと。この赤さえも綺麗な色に見えると思うんだ。芽衣ちゃんが居れば、絶対。