約束
木原君の母親の両親は娘が義理の弟と結婚をすると言い出して、すぐに亡くなったらしい。だから、身内は彼女だけしかいないのだ。
「会わせてくれって言っているってさ」
「会いたくない、の?」
彼は鋭い眼差しをむけることはなかった。その代わり、息を吐く。
「会いたくないよ。あの人はああやって自分を選んだのだから。一馬の母さんや、俺の母さんの幸せを奪っていって、祖父母だってじいちゃんは心労で倒れて、ばあちゃんは食が細くなって、徐々に体が弱っていった」
「会わせてくれって言っているってさ」
「会いたくない、の?」
彼は鋭い眼差しをむけることはなかった。その代わり、息を吐く。
「会いたくないよ。あの人はああやって自分を選んだのだから。一馬の母さんや、俺の母さんの幸せを奪っていって、祖父母だってじいちゃんは心労で倒れて、ばあちゃんは食が細くなって、徐々に体が弱っていった」