約束
 踊り場に到達する。そのときなんとなしに近くにある窓ガラスを見ると、自分の顔を確認できた。

自分の顔をこうやってみたのも久しぶりだ。あまり昔と変わらないが、少しだけ頬の辺りが痩せたかもしれない。

「あれから雅哉とほとんど話をしていないんだよな」

「家を出て行っちゃったし、きっかけもないしね」

 私が話しかければ話をしてくれるかもしれないが、今更合わせる顔もなかった。それに彼が私と話をしたくないと思っている可能性だってある。
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