約束
「似合う?」

 彼は頷いた。

「大事にするね」

 彼の顔が近づいてくるのに気づき、目を閉じる。その数秒後に、私の唇に彼の唇が触れる。触れるだけの優しいキス。私と彼が交わした最初のキスだった。

「誓いのキスみたいだね」

 目を開けると、恥ずかしそうにしている木原君にそういう。
 その言葉に反応したのか彼の頬がもっと赤くなっている。

「すっごい真っ赤なんだけど」

「君もね」

 私たちは顔を合わせると、笑い出す。一緒に笑えるだけで、心が満たされる。楽しいと心から言える。もうこんな時間を今までのように過ごせないのが寂しいけど。
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