黒猫眠り姫〔上〕[完]

学校生活に


次の日、久しぶりに制服を着た。

あまり時間は経ってはいないけど、

なんだか懐かしい。光陽の制服は、

ブルーチェックのスカートに、紺

色のブレザー、ネクタイかリボンを

選べる。ネクタイは、結ぶのが出来

ないから、赤色リボンをしている。

「かわいいじゃん。」

「湊。」

「ご飯出来たよ。」

「うん。食べる。」

前の家よりは、少し遠くなったけど

時間は十分ある。

「湊は、今日家に居るの?」

「うん。締め切り近いから詰めないと。」

「あっそっか。」

「なんかあった?」

「ううん。なんでもない。」

「そう?」

「うん。原稿頑張ってね。」

「うん。頑張るよ。」

食器を流しに置き、洗剤をつけて

洗う。なんだか、清々しくなった。

「じゃ、行って来ます。」

「行ってらっしゃい。」

にこっと笑う湊を見て少しだけ元気が出た。
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