彩葉唄
彩葉が待っている場所に着くまで、霧夜は昔の事を思い出していた。
まだ二人が一緒だった頃の懐かしい記憶。
出会った当初の彩葉は、泣き虫で臆病で優しくて、人とは異なる髪と瞳の色を嫌っていた。外へ出かける時は常に衣を頭から目深かに被っていた。
その姿は、何処かの姫君のように可愛かったから、よくからかった。
からかうと、彩葉は真っ赤になって衣を脱ぎ捨て怒るのだ。
いつまでも、このまま二人で居たかった。
だけど、それはいつまでも続かなかったんだ。