悩める乙女と冬の夜
「お疲れさまでした」

私も自分の乗る電車へと向かいながら、さっきの言葉を考えていた。

「俺が一番知ってるって、どういうこと…」
口に出してみて、その言葉が実は意味深なことに気付いてしまった私。

(ど、どうしよう)


私の顔が赤いのは寒いせいだと自分に言い聞かせて。
大きな音をたてて滑ってくる電車を横目に見やり。

私は誰にも聞こえないため息を吐いた。

明日から始まる、新しい悩みを思いながら。

【終わり】
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