ひなたぼっこ~先生の、隣~






家に入ったのを確認すると、車を発進させる。






…教師ってなんなんだろ?











生徒との境界線かー…






ブーブー




着信を知らせる携帯のバイブが車内に響いた。




ディスプレイを開くと、めったにない着信相手。








"着信中 妹尾"







急いで近くのコンビニの駐車場に車を停める。





「…もしもし」



『あ…えっと…今、大丈夫ですか?』



数時間ぶりに聞く、妹尾の声。

「大丈夫。…本当、お前はタイミングがいいよな…」


声を聞くだけで、心が安らぐ。


『え?』


「いや…それより、どうした?」



『あの…えっと…』

なかなか本題を、言い出さない妹尾。






『…麻生さんは…?』




なんで、妹尾が麻生のことを…


あ、そうか。



立川がー…





「…大丈夫だった。麻生も今、病院から送ってきたところ」



『そうですか…良かった…』




「それより、せっかくの修学旅行なんだから。楽しめよ?」



『あ…はい…あの…先生は?』


「俺は、麻生と病院に行ったりとか…お前らが戻ってくるまでわな」


『そ…ですか。無理…しないでくださいね』


ドキ


「…無理はしてないよ。これが"教師"の役目ー…」




『…先生?』



「あ…いや、わり。…そろそろ消灯時間じゃないのか?」


『そう…です』


「早く寝ろよ?」


『…はい。おやすみなさい』



妹尾との電話を切った後、再び車を走らせる。







教師って…





なんなんだろうなー…





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