ひなたぼっこ~先生の、隣~
発信ボタンを押し数回の機械音がした後、数時間ぶりの声が聞こえた。
『…もしもし』
ドキ
自分で電話しといて、心臓がドキドキしている。
「あ…えっと…今、大丈夫ですか?」
やっと出た言葉。
『大丈夫。…本当、お前はタイミングがいいよな…』
「え?」
"大丈夫"というのは聞こえたが、そのあとの言葉は小さな声だったため何を言ってるのかわからなかった。
『いや…それより、どうした?』
「あの…えっと…」
自分でも無意識に電話をかけたため、何を言いたかったのかよくわからない。
「…麻生さんは…?」
…って、私は何を聞いて…
少し間が空いた後、静かに先生が喋り出した。
『…大丈夫だった。麻生も今、病院から送ってきたところ』
「そうですか…良かった…」
麻生さんのお母さん、無事だったんだ。
『それより、せっかくの修学旅行なんだから。楽しめよ?』
「あ…はい…あの…先生は?」
『俺は、麻生と病院に行ったりとか…お前らが戻ってくるまでわな』
あれ…
さっきよりも、声がー…
「そ…ですか。無理…しないでくださいね」
『…無理はしてないよ。これが"教師"の役目ー…』
「…先生?」
"教師"の役目ー…と言った後、先生は黙ってしまった。
『あ…いや、わり。…そろそろ消灯時間じゃないのか?』
「そう…です」
『早く寝ろよ?』
「…はい。おやすみなさい」
ゆっくりと携帯を閉じる。
"教師"の役目ー…
先生は、どうして黙ってしまったんだろう?
もしかして…
立川くんが言ってたことー…?