ひなたぼっこ~先生の、隣~



「高橋!ちょっといい?」


香奈がノックもせずに、準備室の扉を開けた。


「あれ…」


見渡しても、先生の姿が見えない。


「おっかしいなぁ…昼休みはほとんど、ここにいるはずなのに」

「…」


香奈が準備室の中を、ウロウロし始めた。

どこに行ったんだろう?

泰葉も気になり、キョロキョロと辺りを見渡しているとー…


「あ…」


「いた!?」

扉から死角になるとこに置いてあるソファから、何者かの足だけが見えた。


「先生、何寝てんの!?」


見つけるなり、先生の身体をバシバシ叩き始めた香奈。


「…香奈!寝かしといてあげよ?クッキーなら、放課後にでも渡せばいいんだしさ」

慌ててその手を止め、そう香奈に言った。

「そっか…そうだよね。放課後にしようか」

「うん。そっちの方がいいよ」

「じゃあ、教室もどろ!泰葉、また放課後に付き合ってね」

「…うん」


さっさと準備室から出て行ってしまった、香奈。


「…」


香奈の姿が見えなくなってしまったとこで、視線をソファで眠っている先生に向けた。





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