私と彼の関係
第十章 ほんのわずかな勇気
 翌日、花柄のレースのワンピースを着ていくことにした。悩みに悩んでそれを選んでいた。


 待ち合わせ場所にはすでに宮野君の姿があった。彼は私と目が合うと、目を細める。


「今日はごめんね」


「いいよ。約束だったし。これで約束が片付いてすっきりしたかな」


 彼はそう笑顔で言っていた。


 でも、私としてはその言葉に笑顔で答える気にはならなかった。


 その言葉に胸が痛んだ。


 片付く。


 それが宮野君の率直な感想だったんだろうか。


 宮野君は私に声をかけることなく歩き出した。



 私は歩き出した宮野君のあとをついていく。


 当たり前だよね。


 別に付き合っているわけでもない。ののかちゃんのように親しいわけでもない。



 何をやっているんだろう。別に彼は私のことなんて好きじゃないのに。


 私とそんな約束をしたことを後悔しているのかもしれない。



 洋服を迷って選んだのがばかみたい。


 そう思ったとき、目から熱いものがこぼれてきそうになる。
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